単式1面1線のホームを持つ地上駅で、1959年(昭和34年)8月1日に開業した駅です。 駅周辺に民家は全くなく、その上駅に通じる公道も全くないのです。 鉄道でしかこの駅へ来ることはできない秘境駅訪問家の牛山さんの秘境駅ランキングは2位とかなりの秘境度を有している駅です。 本来のホーム側から、待合室を見ました。実際のホームは、枕木路並べて砂をまいただけ、当然白線なども引いてあるはずもありません。 その向こうには、コンクリート製の、ちょっと高いホームのような構造物がみられますが、線路は見当たりません。 恐らくこの構造物は、尾盛駅に活気があった頃に色々な物資や材木などの運び込み・積み込みをしていたホームの名残ではないかと思います。
ホームから、遮断機など無いというか線路を渡るための設備が無いので、実際の線路をずかずかと渡り待合室のある方に移動しました。 訪れた時は秋でした。ホームの様な構造物には広葉樹の落葉が敷き詰められ、赤や黄色の色合い、それとは対照的にねずみ色(あえてグレーとは表現しない)の線路部分が、 何とも言えない雰囲気を醸し出していました。
信楽焼なのでしょうか?そんな風景の中に2匹の狸が置かれています。普通なら風景に色取りを添える狸の置物ですら、俗物に見えてしまうこの静寂と風景。 この駅に降り立った人でなければ、感じる事が出来ないでしょう!
尾盛駅の接阻峡温泉駅側には石段の様な構造物が見られます。この崩れかけた石段を登ると結構広い平地に出ます。 以前は、ダム建設関係者(工事関係者)のために周辺に多数の宿舎や小学校もあり、医師も常駐していたとの事らしいのです。 この駅近くの立地から考えると、小学校や診療所があった場所なのではないかと考えられます。 工事途中で終わってしまった遊歩道も、今や廃道と化し尾盛駅に通じる道路は皆無です。 駅前に道路や広場が無いという事は、駅の入口や出口すら見出す事は出来ません。 当然駅には、ありきたりの観光案内などあるはずもなく、秘境駅としての役割を十分に果たしていると思います。 この駅への車道は二度と甦る事はないでしょう。そして、それを望む人もいるはずがありません。 この駅は、秘境駅なのですから。