◎心よく持て、峰の花、心わるいと、風に逢う
◎心わるくは、ござらぬか、立場悪くて、風に逢う
◎子持ち姿で、子のなきは、鳥の巣殺し、なされしか
◎鳥の巣殺しゃせぬが、殿さしたかも、わしゃ知らぬ
◎東山から、西山へ、青い女人の、影がさす
◎青い女人の、影ではなくて、青い羽織を、着た殿御
◎すいも甘いも、身に持つ故に、色づきゃ裸に、なる蜜柑
◎しのぶあなたの、手ぬぐい取って、月にさせたい、ほほかむり
◎赤いさかずき、すむまで待って、待ってちょうだい松の針
◎世話にしてくれ、わしゃよいとこへ、姑こじゅうとないとこへ
(上の二首に続く返し歌と思われます)
◎姑こじゅうと、あるべきものよ、殿のご器量、よいとこへ
◎殿のご器量は、どうでもよいが、田地宝の、あるとこへ
◎とりが鳴こうと、夜が明きょと、お寺で和尚が、鐘つこと 若いさかりだ、踊ろうよ
◎瀬沢平谷の女衆、けつに前掛つっかけて 佐澤薬師にしゃれかける
◎いもを食う食うやまいもを、姉さ出せ出せいも茶の子 いもがなければ茶がまずい
◎地名か葛籠か、石風呂か、せめて三村に縁ござれ
◎せめて三村に、縁なくば、地名のおせどの、久野脇は、みかん娘の、名産地
◎地名の甚太が、来るそうで、川の瀬がなる、音がする
◎佐澤薬師は、妻薬師、妻と定めりゃきんみょうだ
◎女子楽なが、高手山、高手山では、何が楽
◎朝日さすまで、寝るがらく、朝日さすまで、寝るわしら
◎鏡手にとるひまもない、鏡手にとるひまはしら たすき投げおくひまもない
◎ばんば出せ出せ芋茶の子、芋がなければ茶がのめん ヒョンコヒョンコ
◎地名の平の、女芋、一本百八、子がついた ばんば出せ出せ、芋茶の子 芋がなければ、茶がまずい、ヒョンコヒョンコ
◎島田河原に、昼寝して、あゆの瀬上がり、夢に見た
◎あゆは瀬に住む、鳥や木の枝に 人は情けの、下に住む ヒョンコヒョンコ
◎三津間見て楽、居てみて辛苦 苦労した末、半地獄
◎三津間照れ照れ、久野脇曇れ 花の葛籠は、雨となれ ヒョンコヒョンコ
*佐澤薬師の冊子より
色々な内容の歌詞があり、大変興味深いものです。和歌などが原点と思われますが、七・五・七・五または、七・七・七・五の音数律を持っている歌詞で、下線の歌詞は、一対の返し歌の形態と考える事が出来ます。七・七・七・五の音数律は
都都逸の音数律と同じであり、都都逸の影響も考えられます。また、色艶のある歌詞もみられます。都都逸の完成は江戸末期とされていますので、その頃に作られたものも現在に伝えられているのでしょうか。