大井川鐵道・井川線の
長島ダム駅から徒歩で3分位の所にあるダムです。井川線の車窓(
1、
2、
3)からも、迫力ある姿を見る事が出来ます。 長島ダムは型式が重力式コンクリートダムで、 堤高は当初112.0mを計画されましたが、後に修正されて109.0mとなっています。 特定多目的ダム法に基づき国土交通大臣が直轄管理を行う特定多目的ダムであり、 大井川水系唯一の多目的ダムとなっています。 目的として洪水調節、不特定利水、灌漑、上水道供給となっていて、 水力発電目的ではありません。水力発電を行わないダムとしても大井川本川では唯一のものです。 計画から29年後の2001年(平成13年)に完成しています。
ダム建設によって本川根町の39戸が水没、関連移転を含めると43戸の住居が移転を余儀なくされました。 住民はダム建設に対し反対運動を繰り広げました。 当時
大井川の枯渇原因がダムであった事もあって下流の流域住民も
長島ダム建設に否定的姿勢を見せていました。 建設省は1979年(昭和54年)4月17日に長島ダムを水源地域対策特別措置法の対象ダムに指定、 水没住民への補償を厚くする他に水没地域である本川根町(現在は川根本町)の地域整備を実施しました。 具体的には大井川沿いの温泉館「
もりのいずみ」新設(時之栖に業務委託)、接岨峡温泉内への
温泉会館の建設、 久保山ゲートボール場の新設、
奥大井湖上駅への
レイクコテージ奥大井の新設などです。 大井川沿岸を走る大井川鐵道井川線が川根市代駅から川根長島駅間でダム建設により水没する事から(
レインボーブリッジから見える旧井川線・
ミステリートンネル)、 井川線の存廃問題も起こりました。 井川線は上流の静岡市井川(
井川線・井川駅:運休中の駅)と千頭(
井川線・千頭駅)を結ぶ重要な交通機関であり、
観光路線の一つでもある事から存続を求める声が上がりました。このため建設省は1990年(平成2年)より補償工事の一環として井川線の付け替え工事の施工を開始しました。 付け替えにより川根市代駅から長島ダム右岸までの間が標高差ができて急勾配となるため、
アプト式のラック式鉄道が採用されました。 川根市代駅を
アプトいちしろ駅と改称し、長島ダム右岸に
長島ダム駅を新設して、 この2駅間を電気機関車によって推進しています。また、ダム湖を渡る鉄橋を「
奥大井レインボーブリッジ」と名付けられ、 橋の中間に
奥大井湖上駅を新設。こうした工事により大井川鐵道は蒸気機関車導入(
大井川鐡道本線)に次いで、アプト式鉄道(
大井川鐵道・井川線)という新しい特徴が得られる事となりました。 その後、井川線には「南アルプスあぷとライン」の愛称が付けられました。長島ダム直下に架かる
しぶき橋も観光の名所となっています。